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状況証拠で人を裁くのは妥当か?

世間が震撼した和歌山毒物カレー事件

逮捕される前から、マスコミは林さん(マスコミが「受刑者」ではなく「さん」付けで書いているので、ここでも「さん」と書きます)が疑わしいという「状況」を次々と報道し、まるで犯人だと言わんばかりの報道でした。

結局物的証拠が見つからず、自白もない状態にも関わらず、死刑判決が下った前代未聞の裁判でした。

状況証拠で人を裁く、しかも死刑にするというのは妥当か?

冒頭に書いた通り、マスコミが林さんが犯人であるかのような報道を繰り返していたため、世間もそれが真実だと疑わず、前代未聞でありながら、大きな混乱もないうちに話題は収束しましたが、私はこの判決にとても違和感を覚えました。

状況証拠しかない状況で有罪になるのであれば、悪く言えば「一番怪しいから、あなたが犯人です」と言っているようなものです。

このようなことが認められれば、冤罪がますます増えていってしまうでしょう。

しかも、このことに対して、不審に思わない世間は非常に危険だと思います。

「怪しい」というのは推測であり、「怪しき者は罰せず」という原則に反しています。

犯人は自分だという証拠を隠そうとするでしょうから、捜査をする警察の方々は非常に大変だと思います。

だからといって、証拠が不完全なまま犯人に仕立て上げるようなことはしないでほしいです。

あとがき

こういうことを書くと、「おまえは林さんが犯人ではないと思ってるのか?」という邪推をする方がいますが、私は林さんの関係者でもなければ、捜査関係者でもありませんし、専門家でもありませんから、私の見解は「誰が犯人なのかわかりません」です。

重要な状況証拠とされたヒ素の鑑定結果のデータを再鑑定したところ、同一ではないとの鑑定結果が出たそうです。

どこまでの信用性があって、どこまで裁判に影響するかわかりませんが、まだ林さんが犯人だとするには(犯人ではないとするにも)早いように思います。

和歌山カレー事件のヒ素鑑定――再分析した京大教授が否定
週刊金曜日 4月18日(木)17時21分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130418-00010000-kinyobi-soci

一九九八年七月に六〇人以上が死傷した和歌山カレー事件からもうすぐ一五年。殺人罪などに問われ、二〇〇九年に死刑が確定した林眞須美さん(五一歳)は現在も無実を訴え続けて再審請求中だが、その再審の行方を左右しそうな注目の論文が発表された。

論文は、三月末に発売されたX線分析の専門誌『X線分析の進歩』第四四集(アグネ技術センター)に掲載される京都大学大学院工学研究科・河合潤教授の「和歌山カレーヒ素事件鑑定資料の軽元素組成の解析」。捜査段階で東京理科大学理学部・中井泉教授が大型放射光施設SPring-8で行ない、林さんの裁判で有罪の拠り所とされたヒ素の鑑定結果について、河合教授は生データを再分析。その結果、中井鑑定で「同一の物」とされた「林さん宅で見つかったとされるヒ素」と「犯行に使われたとみられる紙コップに付着したヒ素」とが「異なる物」と判明したという衝撃的な内容だ。

この河合分析のポイントは、中井鑑定がヒ素の「重元素」の組成を比較したうえで鑑定資料のヒ素のすべてを「同一の物」と結論していたのに対し、「軽元素」の組成にも着目して分析した点にある。どちらの見解が正しいかは今後、科学論争に発展する可能性もあるが、中井鑑定はSPring-8が刑事事件の鑑定に使われた初めての事例であるにもかかわらず、これまで一度も他の専門家の事後的な検証にさらされていなかった。今回初めて他の専門家の事後的な検証にさらされ、いきなり鑑定結果を否定された事実が持つ意味は決して小さくないだろう。

また、中井教授は林さんが起訴もされていない時期、「悪事は裁かれるという社会的正義を実現する」などという目的で鑑定結果を勝手にマスコミに公表するなどし、裁判では鑑定人としての中立性の有無が問題になった人物だ。その点からも、別の専門家の事後的な検証によって、中井鑑定が否定された意味は重い。

林さんの再審弁護団はこの河合分析の結果に基づき、すでに和歌山地裁に対し、ヒ素の再鑑定を求める再審請求補充書を提出。再鑑定には、検察側が反対する公算が高いが、和歌山地裁が再鑑定を決定すれば、林さんの再審請求審は一気に動き出す可能性がある。

(片岡健・ルポライター、4月5日号)

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